残業代請求|福岡の司法書士 にじいろ法務事務所

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横浜地裁平成21(ワ)3504号平成23年1月25日判決

2016-09-03

主文
1 原告が,被告に対し,雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。
2 被告は,原告に対し,平成21年6月15日から本判決確定の日まで,毎月15日限り,29万5500円を支払え。
3 原告のその余の請求を棄却する。
4 訴訟費用は,これを10分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。
5 本判決は,第2項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1 請求
1 主文第1項と同旨
2 被告は,原告に対して,平成21年5月1日から本判決確定の日ま
で,毎月15日限り,45万2418円を支払え。
3 訴訟費用は被告の負担とする。
4 第3項につき仮執行宣言

第2 事案の概要
本件は,被告との間で雇用契約を締結し,派遣労働者として就労していた原告が,被告が平成21年3月30日に行った原告を同年4月30日付けで解雇する旨の意思表示は,整理解雇の要件を満たしておらず無効であると主張して,被告に対し,雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに,同年5月1日から本判決確定の日までの賃金の支払を求めた事案である。

1 前提事実(証拠によって認定した事実は各項末尾の括弧内に認定に供した証拠を摘示し,その記載のない事実は当事者間に争いのない事実である。)
(1) 被告( 旧商号は, 日設エンジニアリング株式会社,フジオーネ・テクノ・ソリューションズ株式会社)は,労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(以下「労働者派遣事業法」という。)に基づく派遣事業などを目的とする株式会社である。
被告は,平成18年,株式会社Aと合併し,持株会社であるB株式会社の完全子会社となった。一般労働者派遣事業及び有料職業紹介事業を業とし,Bの中核会社であった株式会社Cは,平成20年1月11日,東京労働局から労働者派遣事業停止命令及び労働者派遣事業改善命令を受け,同年6月24日,従業員の職業安定法違反幇助により罰金刑が適用されたことなどから,同年7月31日,一般労働者派遣事業及び有料労働者派遣事業を廃止した。
B株式会社は,同年10月1日に,商号をD株式会社に,さらに平成22年7月1日に商号を株式会社Eにそれぞれ変更した(以下,商号の変更にかかわらず,「D」といい,株式会社Eのグループ会社を総称して「Fグループ」という。)。
(2) 原告は,平成8年に被告との間で派遣労働者(技術社員)として雇用契約を締結し,被告横浜支店に配属され,それ以降,平成17年まで株式会社G製作所(以下「G製作所」という。) α工場に派遣されて同所で就労していた。その後,原告は,H電気工業(以下「H電工」という。) β工場生産技術部門に派遣替えとなり,平成21年3月31日まで同所で生産ラインの新規設計,改造の業務に従事していた。
(3) 被告は,平成21年3月31日の時点の待機社員494名のうち新規配属先が確保できた者及び同月末から同年4月末の間に自己都合退職した者を除く合計351名に対して,同年4月18日付け若しくは同月30日付けで解雇する旨の意思表示を行った。そして,被告は,原告に対しては,同年4月30日付けで就業規則20条6号に基づき解雇する旨を同年3月30日付けで通知した(甲3,乙10の4 及び5,乙18。以下「本件解雇」といい,同年4月18日及び同月30日付けで行われた整理解雇を総称して「本件整理解
雇」という。)。
被告の従業員就業規則(乙1。以下「本件就業規則」という。)第20条(解雇)は,「会社は,従業員が次の各号の一に該当し,客観的に合理的な理由があり,社会通念上相当であると認められる場合において,解雇する。」として,同6号で「事業縮小,閉鎖,設備の変更などにより経営上やむを得ない事由のあるとき」と規定している。
(4) 原告は,平成21 年4月3 日,I 労働組合(以下「I 」という。)に加入した(甲5)。Iは,同月27日及び同年5月11日,被告と団体交渉を行った。
(5) 原告の賃金は,当月末日締め,翌月15日支払である。

2 争点
本件の主たる争点は,本件解雇の有効性であり,争点に関する当事者の主張の要旨は,以下のとおりである。
(1) 被告
ア 労働者派遣特有の事情
労働者派遣は一時的臨時的な労働力の需給調整システムとして位置付けられるものであり,派遣労働者の就業は,構造的に派遣先の経営等の状況に大きく左右される。原告は,そうした特質を有する派遣労働者としての採用であることを明確に認識した上で被告と雇用契約を締結した。
派遣先から派遣契約を適法に解消された場合,派遣会社としては他への派遣という方法でしか派遣労働者の雇用を確保し得ない。
仮に派遣先による派遣契約解消について民事上の損害賠償請求が可能であっても,これにより派遣労働者の派遣就業が可能となるわけではない。また,大手メーカー等の派遣先と派遣会社との間に事実上の優劣があることも否定できず,派遣会社が派遣労働者の雇用確保のために採り得る措置は限られる。加えて,労働者派遣事業においては,派遣会社が自ら雇用する派遣労働者を派遣先で就業させることにより初めて利益が得られるのであり,派遣労働者が稼動しなければ,当該労働者の人件費はそのまま派遣会社の損失となり,派遣会社の経営に大きく影響を及ぼす。
整理解雇の有効性は,いわゆる4要素を含む諸事情を総合的に判断するものであるから,派遣労働者の解雇については以上のような労働者派遣事業の特殊性が十分に考慮されなければならない。
イ 人員削減の必要性
(ア) 被告は,Dの完全子会社であり,Fグループの信用力低下や経営環境の悪化は当然に被告の経営に影響を与えるところ,前記1(1)記載の株式会社Cの事業廃止に至る経過により,Fグループ全体の信用が損なわれ,資金繰りに影響が生じ,被告においても資金面・営業面で少なからず影響が生じていた。
(イ) 被告の売上高は,平成19年度上半期が125億6224万4960円,同年度下半期が121億0849万5739円,平成20年度上半期が106億4938万9001円,同年度下半期が79億5825万9295円であり,売上総利益は,平成19年度上半期が25億8579万9934円,同年度下半期が25億9605万2659円,平成20年度上半期が19億1650万6174円,同年度下半期が17億8694万2384円であり,その業績の悪化は明らかである。
被告は,平成20年度決算において,Dに対する貸付債権が回収不能となる可能性があったため,特別損失として22億0199万7917円の貸倒引当金を計上し,同貸倒引当金は平成20年度の当期純利益を大きく圧迫した結果,同期の決算で巨額の赤字を計上した。
(ウ) また,平成20年9月以降,米国の金融危機に端を発した世界的な信用収縮や消費の低迷,株式市場の下落等による全世界的な実体経済の落込みにより,被告の主要な顧客である自動車・半導体・家電メーカー等輸出関連の製造業が軒並みラインの稼動を休止し,減産を行ったことを受け,各分野における派遣・アウトソーシング等の需要が減退し,被告を含め,Fグループの経営環境はさらに厳しくなった。
(エ) こうした日本の経済情勢及びFグループの信用低下により,派遣契約が途中解消あるいは期間満了で終了するに至った後,派遣先の決定しない待機社員がFグループ全体で増加し,被告においても,平成20年10月末時点で319名となった。
Fグループでは,労働組合と協議を行い,待機期間が120日を超えてもなお派遣先の見通しが立たない技術社員との雇用契約を終了させることとし,平成20年10月31日,従業員89名(うち被告においては17名)の契約解消を行った。また,退職勧奨対象基準を段階的に変更した結果,平成21年1月は待機社員292名(待機率9.6パーセント),同年2月は待機社員222名(待機率7.7パーセント),同年3月は待機社員116名(待機率4.3パーセント)と減少しているように見えた。しかし,同月末の派遣契約終了により,同年4月には,平常時は約3パーセントであった待機社員が420名(待機率17.1パーセント)に,平成19年度には約3パーセントであった待機コストの売上原価占有率が15.6パーセントにそれぞれ達するとともに,平成19年度に約90パーセントであった派遣契約更新率が70ないし80パーセントに落ち込み,平成21年6月末には,待機社員数がさらに増加することが予想されていた。同年4月の待機コストは,1億8270万円に上り,被告は,待機社員の解雇を行わなければ,技術社員に対する賃金減額,間接社員に対する更なる退職勧奨,支店の閉鎖,さらには倒産せざるを得ない状況に陥った。そこで,被告は,同月段階で派遣契約が途中解消あるいは期間満了で終了するに至った後1か月以内に派遣先の決まらない待機社員に対する本件整理解雇を実施して,人件費を削減することが必須であった。
(オ) よって,本件解雇当時,企業の合理的運営上やむを得ない必要性があり人員削減の必要性が認められることは明らかである。
ウ 解雇回避努力
被告は,本件整理解雇を回避するため,支店・本社の部署を統廃合し,役員報酬を削減し,間接社員の給与及び賞与を削減するなど支出の軽減を行うとともに,平成20年7月に平成21年入社予定の新卒採用人数を当初200名の予定のところ,内定承諾者を22名に抑制し(そのうち14名が内定辞退),平成22年入社予定の新卒採用については中止した。
また,被告は,平成20年10月21日,間接社員を対象として,募集期間を同月27日から同年11月4日まで,特別退職金を基準内賃金の3か月分として113名(Fグループ全体で約1130名)の希望退職者の募集を実施することとし,83名の応募があったが,派遣労働者(技術社員)については,人材流出防止のため,希望退職の募集を行わなかった。仮に,技術社員に対して希望退職の募集を行った場合でも,雇用環境が悪化した平成21年3月の時点においては,現に派遣先に配属されて業務に従事している従業員が応募するとは考え難く,かえって被告に人材流出という不利益をもたらし,実効的な解雇回避措置として機能しない状況にあった。さらに,被告は,平成21年3月18日,募集期間が同月30日から同年4月3日まで,退職日が同月15日,特別退職金が退職事由発生日以前の直近月の総支給額の1か月分,年次有給休暇の買取りとして退職日時点の年次有給休暇の残日数を全て買取り単価60パーセントで買い取る,再就職支援として被告とDが連携して退職者の再就職支援に取り組むとの条件で間接社員252名中3割以上の90名(Fグループ全体で800名程度)の希望退職者の募集を行い,後に募集期間を同月14日までに延長し,38名の応募があった。
被告は,平成20年10月から平成21年3月まで,待機期間が45日ないし120日以上の合計393名の技術社員に対して,退職勧奨を行い,同年1月,4名の従業員についてFグループ内の他社への転籍について同意を得た。被告は,取引先から一時休業の通知を受けた待機社員18名を対象に,平成21年2月9日から一時帰休を実施し,平均賃金の60パーセントを支払った。また,被告は,解雇予告通知から解雇までの1か月の間に,配属先が決定した従業員については,解雇を撤回した。
エ 人選の妥当性
被告は,平成21年3月時点で,これ以上待機社員を抱えることは不可能と判断し,同月末時点の待機社員で,営業努力をもってしても新たな派遣先が確保できなかった者については,全員解雇せざるを得ず,現に派遣業務が継続予定である従業員に優先して既に待機となっている者を優先的に解雇することは,業務の安定維持の観点からは十分合理性を有する。
オ 手続の妥当性
被告は,平成21年3月9日,原告を含む従業員に対し,人員削減についての説明会を開催し,書面及び口頭で人員削減の必要性を具体的に説明し,退職手続等についても資料を配付して説明した。
また,Fグループは,平成21年2月25日,人員削減に関し,従業員の79.7パーセント(同年1月末時点)が加入している人材サービスゼネラルユニオンテクノプロエンジニアリング分会(以下「分会」という。)に対し,希望退職や整理解雇を内容とした全社的なリストラクチャリングの実施を申し入れ,分会との間で,同年3月17日まで5回の団体交渉及び7回の事務折衝を行い,人員削減の条件や実施日,年次有給休暇の買取り条件について交渉を行い,分会からの一定の理解を得た。
さらに,被告は,原告が平成21年4月3日に加入したIとの間においても,同月27日及び同年5月11日に団体交渉を開催し,人員削減の必要性について説明を行っている。
カ 以上のとおり,本件解雇は本件就業規則20条6号に該当し,社会通念上も相当で,整理解雇法理(解雇権濫用法理)に照らしても有効である。
(2) 原告
本件解雇は,判例で確立した整理解雇の4要件を満たしておらず,無効である。
ア 整理解雇の必要性の欠如
被告は,Fグループの信用低下,米国の金融危機に端を発する経済状況の悪化によりFグループの資金繰りが悪化し,資金繰りに行き詰まれば企業存続に関わると説明するものの,被告自体は,平成20年6月期時点で利益率が落ちていたとしても,黒字であり,整理解雇をするほど切迫した状況ではなかった。
被告は,平成21年5月11日時点で,解雇者数の目標を定めていないことを明らかにしており,本件整理解雇は企業再建のために必要であったのではなく,単に人件費を削減して利益を出すための解雇であった疑いがある。
さらに,被告は,人員削減を行いつつ,新たに従業員の募集を行い,20名に採用内定を出した。
以上の事実によれば,被告には,本件解雇の時点で整理解雇の必要性があったとはいえない。
そして,被告が,平成20年度決算において,特別損失としてDに対する22億0199万7917円の貸倒引当金を計上し,Dの事業再生ADR手続において債務の返済原資としての被告の利益が充てられることになると述べていることなどに鑑みれば,経営危機をもたらす根本的な原因は,被告とDとの不正常な関係にある。親子会社といえども,独立した別法人である以上,子会社は,親会社の経営危機を自らの経営危機と同視して,その救済を理由に,整理解雇することは認められない。
イ 解雇回避努力の懈怠
被告は,貸借対照表及び損益計算書などの計算書類をもって本件解雇当時の財務状況を明らかにすることがないため,被告が採った施策が正当であったか否か及び解雇回避努力を尽くしたか否かは,検証不可能である。
被告は,整理解雇の目標数を定めておらず,解雇回避努力を最初から放棄している。被告は,間接社員のみ希望退職を募集し,派遣労働者については希望退職の募集を行っておらず,その理由として優秀な派遣労働者の流出防止を挙げる。しかし,使用者は希望退職者を募集して転職の機会を与え,解雇される人数をできる限り限定すべきであって,被告の主張する理由は希望退職の募集を行わなかったことの合理的理由とならない。
したがって,被告が解雇回避努力を怠っていることは明らかである。
ウ 人選の不合理
被告は,平成21年3月31日現在で待機状態にある従業員を本件整理解雇の対象としているところ,従業員のそれまでの貢献度,将来性,同人の受ける経済的打撃等その他の要素を一切顧みず,基準日に待機していただけで今後派遣の見通しがないと決めつけることは不公平で,合理性はない。かえって,被告は,新入社員については,待機中の者であっても本件整理解雇の対象としておらず,一定の時期に待機していたかどうかが唯一の基準ではないことを認めている。
原告は,13年間連続して派遣先で勤務し,被告に貢献しており,高い技術能力を有し,今後被告が再建する際に重要な戦力となることが期待される一方,家族を抱え,解雇されればその打撃は著しい。被告は,こうした事情を考慮せず,平成21年3月31日に待機になったというだけで原告を本件整理解雇の対象としており,不当である。
エ 手続の不当性
使用者は,整理解雇をする場合,労働組合又は労働者に対して,整理解雇の必要性,その時期,規模及び方法につき,納得を得るために説明を行い,それぞれの者と誠意をもって協議すべき信義則上の義務を負う。
被告は,平成21年3月9日の従業員説明会で,世界不況といった抽象的な説明に終始し,なぜ自分が整理解雇されなければならないのかという労働者の疑問には全く答えておらず,また,被告の財務状況を全く明らかにしなかった。被告は,団体交渉においても,当時の経営状況を一切明らかにせず,整理解雇の目標人数について十分な説明をしておらず,整理解雇の対象者の選択基準についても納得できる回答をしていない。また,被告は,本件
整理解雇に当たり,原告を含む被解雇者の生活資金となるべき退職金を前もって明らかにせず,不誠実であった。
被告は,分会と団体交渉で協議したことを主張するが,原告は,分会に加入しておらず,かつ分会は信用できないので,同協議の有無は,本件解雇手続に影響しない。また,被告は,Dに対する約22億円の貸付金については,会社説明会及びIとの協議で明らかにしていないから,十分な協議を尽くしたとはいえない。
よって,本件解雇は手続においても不当というほかない。

第3 当裁判所の判断
1 第2・1記載の前提事実に,証拠(甲2ないし5,7ないし8,12,13,18,19,21ないし26,乙1,3ないし11,13ないし15,16の1,17,18,証人J及び原告本人)及び弁論の全趣旨を総合すれば,本件解雇に至る経緯として以下の各事実を認めることができ,他にこの認定を覆すに足りる証拠はない。
(1) 原告の就労状況等
原告は,平成8年に労働者派遣事業法に基づく派遣事業などを目的とする被告(当時の商号は日設エンジニアリング株式会社)との間で派遣労働者(技術社員)として雇用契約を締結した。原告は,被告に入社した後,G製作所α工場に派遣されて,NTT電話交換機の検査業務等に従事し,平成9年12月ころからは,新規NTT交換機システムの取りまとめ役に任命されるようになった。原告は,平成17年7月にH電工β工場生産技術部門に派遣替えになり,同所において,工場生産設備の機械設計を担当していたところ,同所での勤務開始後2年を経過したころからは,予算5000万円程度の中型起業案件を起業立案から予算管理,設備稼働まで任されていた。被告とH電工の労働者派遣契約は,H電工の経営上の都合により,平成21年3月末で期間満了により終了した。
原告は,同年4月1日に待機社員となった。原告は,平成8年に被告に入社してから平成21年3月31日にH電工での派遣就労が終了するまでの間,待機社員となったことはなかった。
(2) 被告の財務状況等
ア 被告の資本金は,平成21年3月時点で50億円あったところ,被告は,平成21年7月に資本金を1億円に減資し,減資した49億円を資本準備金として計上した。被告の売上高は,平成19年度(平成19年7月1日から平成20年6月30日までの会計
年度。以下において被告の会計年度については,平成19年度と同様,7月1日から翌年6月30日までである。)上半期が125億6224万4960円,同年度下半期が121億0849万5739円,平成20年度上半期が106億4938万9001円,同年度下半期が79億5825万9295円であり,売上総利益は,平成19年度上半期が25億8579万9934円,同年度下半期が25億9605万2659円,平成20年度上半期が19億1650万6174円,同年度下半期が17億8694万2384円であった。被告は,平成20年5月度に経常利益が赤字となったが,同月度以前の少なくとも数年間の経常利益は黒字であり,平成20年6月度以降も,本件解雇に至るまで,経常利益は常に赤字になることはなかった。なお,被告の平成20年6月度の売上げは246億円,経常利益は5億円強であった。
イ 経営自主再建計画の策定と実行(本件整理解雇を除く。)
(ア) 平成20年4月ないし9月の状況
被告は,平成20年度における待機社員の増加並びに経常利益及び経常利益率の低下を受けて,平成20年4月,平成21年度の収支悪化を防ぐため,①売上げの拡大,②原価の徹底的管理(長期待機社員のリストラを含む。),③売上総利益の確保(稼働率97パーセントの維持)及び④販売管理費の圧縮を柱とするリバイバルプランと題する経営自主再建計画を策定した。被告は,同プランを同年7月から実施し,同年7月から9月まで,8支店の統廃合並びに本社部署の廃止及び集約をし,平成21年4月入社予定の新卒採用人数を当初予定の200人から22名(うち14名は後に内定辞退)に抑制したほか,退職勧奨等を行った結果,間接社員44名が退職した。
(イ) 平成20年10月ないし12月の状況
被告は,同年7月以降待機社員数が増加したことを受けて,追加措置を実施し,同年10月から12月までの間,2支店を統廃合し,2支店を統合するとともに,同年10月21日付けで,退職日を同年11月30日,特別退職金として給与の3か月分等の支払を条件とする間接社員113名の希望退職の募集を行い,その結果,83名が退職した。また,同年10月からは待機期間120日以上の待機社員に対して,同年12月からは待機期間90日以上の待機社員に対してそれぞれ退職勧奨を行い,そのため,合計128名が退職した。
(ウ) 平成21年1月ないし3月の状況
被告は,平成21年1月から3月まで,以下の継続的な追加措置を実施した。すなわち,被告は,待機社員4名をFグループ内の他社に転籍させ,同年2月9日からは派遣先から一時休業の通知を受けた技術社員18名に対して一時帰休を実施した。
被告は,役員報酬を減額し,退職日を同年4月15日,特別退職金を給与の1か月分等とする間接社員90名の希望退職の募集を同年3月18日付けで行い,38名がこれに応じて退職した。被告は,同年1月からは待機期間60日以上,同年2月からは待機期間45日以上の待機社員に対してそれぞれ退職勧奨を行い,その結果,265名が退職した。なお,被告は,原告ら技術社員に対しては,本件整理解雇に至るまで,希望退職の募集を行ったことはなかった。
(エ) 平成21年4月以降の状況被告は,同年4月から,平成22年3月を終期として,間接社員の給与を減額した。また,被告は,平成22年入社予定の新卒採用を中止し,支店を統廃合するとともに,平成21年5月以降も,毎月待機社員に対する整理解雇を実施した。
他方,被告は,平成22年1月以降,派遣先からの要望にかなう技術社員がいない場合にハローワークで技術社員の求人を行うとともに,個別に退職した従業員に対して復職するように声をかけて復職させている。
ウ 待機社員数の推移
平成20年11月から平成21年4月までの被告の労働者派遣契約の更新率は,毎月69パーセントから85.36パーセントの間で推移した。待機社員数は,平成20年7月が301人(同月に退職勧奨等により退職した人数及び同月末に契約不更新等により新たに待機社員となった人数を除く。以下同じ。)で,総在籍の技術社員数を分母とし待機している技術社員数を分子とした比率である待機率は8.5パーセントであり,同年9月の待機社員数は289名(待機率8.4パーセント),同年11月は243名(待機率7.5パーセント)であった。平成21年1月には待機社員数が292名(待機率9.6パーセント)となり,同年2月は222名(待機率7.7パーセント),同年3月は116名(待機率4.4パーセント),同年4月は420名(待機率17.1パーセント)であった。なお,被告が待機率の集計を開始したのは,平成20年10月以降である。
エ 被告は,Dに対して平成20年4月ころまでに20億6500万円を貸し付けていたところ,平成21年10月23日に開催されたDの事業再生計画案の決議のための債権者会議において成立した同年9月24日付「D株式会社事業再生計画(再修正案)-協議会議提出版―」に基づき,同年11月30日,上記貸付金及び未払利息2341万2275円の合計金20億8841万2275円を債権放棄した。他方,被告は,Dに対して,前記貸付金と相殺することもなく,平成20年初頭から指導料として毎月約5000万円を支払っていた。
(3) Dの経営状況
ア Dの連結決算書類によれば,同社の売上高は,平成19年6月期(平成18年7月1日ないし平成19年6月30日)が5090億0100万円,平成20年6月期(平成19年7月1日ないし平成20年6月30日)が5843億2200万円,平成21年度第3四半期(平成20年7月1日ないし平成21年3月31日)が2590億5600万円であり(いずれの売上高も百万円未満は切捨て),営業利益は,それぞれ,99億4500万円,マイナス66億8300万円,マイナス12億8400万円であり(いずれの営業利益も百万円未満は切捨て),経常利益は,それぞれ,67億9400万円,マイナス127億0200万円,マイナス65億9700万円であった(いずれの経常利益も百万円未満は切捨て)。当期純利益は,平成19年6月期がマイナス407億0800万円,平成20年6月期がマイナス274億1600万円,平成21年度第3四半期がマイナス135億7800万円であった(いずれの当期純利益も百万円未満は切捨て)。
イ Fグループの中核会社で,一般労働者派遣事業及び有料職業紹介事業を業としていた株式会社Cは,平成20年1月11日,東京労働局から労働者派遣事業停止命令及び労働者派遣事業改善命令を受け,同年6月24日に従業員の職業安定法違反幇助により罰金刑を受けたことなどから,同年7月31日,一般労働者派遣事業及び有料労働者派遣事業を廃止した。
ウ Dは,平成21年6月期の自己資本(株主資本と評価・換算差額等の合計)が200億円の債務超過となる見通しであったため,同年6月23日,事業再生ADR手続の申請をした。同手続は同年10月23日に成立し,Dは,同月29日に東京証券取引所の上場廃止となった。
(4) 本件解雇の経過
ア Dは,平成21年3月2日開催の取締役会において,平成20年10月に策定した事業再建計画の見直しを行うことを決議し,被告及びFグループの他社2社の技術事業3社の合計で,平成21年4月15日を退社予定日として待機社員4000名の人員削減をすることを計画した。被告は,同年3月上旬に,多数の派遣先から同月末に期間満了を迎える労働者派遣契約を更新しない旨の通知を受け,同月末の待機社員数が494名になるとの見込みとなったため,待機社員に対して整理解雇を行うことを決定した。
イ(ア) Fグループが整理解雇を行うことは,同年3月3日に報道され,被告は,同月6日及び9日に,各支店において技術社員に対する説明会を開催した。
(イ) 原告は同月3日,説明会が行われるので参加するよう被告の主任から告げられ,同月9日の説明会に参加した。同日の説明会には,約50ないし60名の技術社員が参加していた。
被告K支店のL支店長は,同説明会で,その当時すでに報道されていたDに関する情報を伝えて,原告ら出席者が整理解雇の対象であることを告げるとともに,解雇日程等の手続等を説明した。また,被告は,同日,出席者に対して,被告代表取締役名義で同月2 日付けの「従業員の皆さんへ」と題する書面(甲7)及びDの同日付け「新たな『事業再構築』および『業務構造改革』に関するお知らせ」と題する書面(甲8,23)を配布した。前者には,平成20年10月以降事業再建のため様々な手段を尽くしたがサブプライム問題に端を発した世界経済の変化により同年12月以降の経営環境が悪化し,平成21年3月末の契約更新企業及びその件数が想定より悪化するため,技術社員の人員削減を決定した旨が,後者には,経済情勢の著しい変化と景気低迷長期化予想などに対応するため,被告,株式会社M,株式会社Nの技術事業3社の待機社員を対象として,平成21年4月15日退職(予定)日として4000名の人員削減を行うことなどが,それぞれ記載されていた。なお,同書面には,被告若しくはDの具体的な財務状況及び人員削減の基準は記載されていない。
これに対し,説明会出席者からは,出席者らが解雇対象者となった具体的理由などの説明を求める質問が提出され,L支店長は,詳しい回答は後日行うと回答した。そして,L支店長は,同年3月15日,同説明会で寄せられた52の質問に対する回答が記載された電子ファイル(甲9)を電子メールで送信した。
原告は,同回答に納得せず,L支店長に対して,その後も電話や電子メールで質問をしたが,回答はなかった。
ウ 被告は,原告を含む同年3月31日の時点の待機社員494名のうち,同年4月中に新規配属された者及び同年3月末から同年4月末の間に自己都合退職した者を除く全351名に対して,同年4月18日付け若しくは同月30日付けで解雇する旨の意思表示を行った(本件整理解雇)。原告には,同年4月30日付けで解雇する旨の同年3月30日付け解雇予告通知書(甲3)が送付され,同月31日に到達した。同通知書には,平成20年10月時点のFグループとしての「事業再建計画」作成時の想定を超える経営環境及び雇用状況の激変による収益力の急速な低下並びに平成21年3月末の契約更新件数悪化が予想されることなどが解雇の理由として記載されていた。
その後,本件整理解雇の対象となった技術社員のうち,36名は新たな派遣先が確保できたため,解雇は撤回された。
原告は,同年5月15日支払期日の給与の支払を受けた。また,原告は,同月,約27万円の退職金を受領した。
エ 再就職支援
被告は,退職した従業員を対象とする再就職支援として,同年4月18日から同年10月31日までFグループ専用ウェブサイトで求人情報等を公開するとともに,再就職支援係が個別の退職者からの問合せに対して情報提供を行った。
オ 労働組合との交渉の状況
(ア) Fグループは,同年2月25日,従業員の約8割が加入している分会に対してリストラクチャリングの実施を申し入れ,同年3月17日までに5回の団体交渉及び事務折衝を継続した。
分会は,緊急合同連絡会,ブログ,分会ニュース配布によって,組合員の意見集約を行った上で,同日,リストラクチャリングの条件について被告と合意に至った。そのうち,平成21年3月11日ないし同年4月1日までの間に復社して待機状態となる予定の技術社員に関する条件は, 「①解雇,または合意退職:3月31日までに解雇予告通知を行い,4月30日を以て,解雇する。但し,合意退職条件に同意する者については,解雇日と同日付けでの合意退職(会社都合退職)とする。尚,3月末日を以て一時帰休を終了するので4月1日に復社する技術社員に対しては,一時帰休を実施しない。②残有給休暇は買い上げない。※兼業を許可」というものであった。
(イ) 原告は,同年4月3日にIに加入した。被告と原告及びIとの間では,同月27日に第1回団体交渉が開催され,被告側からは,J取締役,O管理本部・人事総務部シニアマネージャー,P管理本部・人事部労政担当が出席した。同日の団体交渉で,被告は平成20年6月度の売上げ,経常利益,技術社員の待機率,リバイバルプランに基づき行った措置及び本件解雇に至る経緯などを明らかにした一方,当期の損益や経常利益については質問を受けても明らかにすることはなかった。
原告及びIは,同年5月11日,被告と第2回団体交渉を行い,被告側からは,J取締役らが出席した。被告は,この際にも,平成20年6月期以外の財務状況を明らかにせず,現在の財務状況については黒字であると述べるだけであった。

2 以上の認定事実を踏まえて,争点について判断する。
(1) 本件解雇は,いわゆる整理解雇に該当するところ,整理解雇は,労働者の私傷病や非違行為など労働者の責めに帰すべき事由による解雇ではなく,使用者の経営上の理由による解雇であって,その有効性については,厳格に判断するのが相当である。そして,整理解雇の有効性の判断に当たっては,人員削減の必要性,解雇回避努力,人選の合理性及び手続の相当性という4要素を考慮するのが相当であり,以下このような観点から本件解雇の有効性について検討する。
ア 人員削減の必要性
前記第3・1(2)ア及びウの認定事実によれば,平成20年度における被告の売上げ及び売上総利益がいずれも平成19年度より減少していたこと,平成21年3月末までに派遣契約解消のため待機社員となる技術社員が494名,同年4月の待機社員が420名(待機率17.1パーセント)に上っていたことが,それぞれ認められ,こうした待機社員の増加が,派遣事業を目的とする被告の経営に影響を及ぼすことは否定できない。また,第3・1(3)のとおり,Fグループの中核会社であった株式会社Cが,平成20年1月11日に労働者派遣事業停止命令等を受けたことを経て同年7月31日に労働者派遣事業を廃止するに至ったこと及びDの業績悪化は,グループ会社である被告の信用力等に一定の影響を与えたと推認される。
しかしながら,第3・1(2)アのとおり,被告は,平成20年5月度に経常利益が赤字に陥った以外,本件整理解雇以前の少なくとも過去数年間は一貫して黒字であり,本件整理解雇にあたって被告における人員削減の目標を定めていたか否かも明らかでない。
また,第3・1(2)イ(エ)のとおり,被告は,本件解雇予告通知日から約10か月後の平成22年1月からは求人を行うとともに,退職者に声をかけて復職させている。そして,被告は,平成20年度決算(同年7月から平成21年6月まで)で22億円を超える貸倒引当金を計上したと主張するが,原告が提出を求めている貸借対照表及び損益計算書等の客観的な経営資料を提出しておらず,貸倒引当金について,その裏付けとなる経営資料等が提出されないため,かかる事実を認めることはできない。加えて,第3・1(2)エのとおり,被告は平成20年4月ころまでにDに対して20億6500万円を貸し付け,平成21年11月30日にはその貸付金及び未払利息2341万2275円の合計金20億8841万2275円もの債権放棄をする一方で,前記貸付金と相殺することもなく,平成20年初頭から指導料として毎月約5000万円もの支払を続けていたのであって,この点も,被告における人員削減の必要性を考えるに当たって消極的に判断すべき要素というべきである。
そして,これらの事情を総合すれば,被告の経営状態は好ましくない方向に推移していたものと認められるものの,本件整理解雇にあたり,その時点で,被告に切迫した人員削減の必要性があったとまでは認めるに足りない。
イ 解雇回避努力
前記第3・1(2)イのとおり,被告は,リバイバルプラン若しくは追加措置に基づき,平成20年7月以降,支店・本社の部署を統廃合等して賃料及び人件費を削減したこと,役員報酬及び間接社員の給与の減額をしたこと,平成21年入社予定の新卒採用人数を抑制し平成22年入社予定の新卒採用は中止したこと,間接社員を対象として希望退職者の募集を実施して合計121名が退職したこと,待機期間45日ないし120日以上の技術社員に対して退職勧奨を行って合計393名が退職したこと,待機社員4名をFグループ内の他社へ転籍させたこと,一部の待機社員の一時帰休を実施したことが,それぞれ認められ,解雇を回避するために,一定の措置を講じたといえる。
しかし,先に判示したとおり,被告が本件整理解雇当時に人員削減の目標を定めていたかも明らかではなく,また,第3・1(3)及び(4)記載のとおり,被告は,技術社員に対する希望退職者の募集を一切行わないまま,平成21年3月末時点の待機社員の人数が494名に上るとの予測を受けて,直ちに原告を含めた待機社員351名にも及ぶ本件整理解雇を実施することを決定し,その解雇通知を行っている。こうした事情によれば,人員削減の手段として整理解雇を行うことを回避するため,希望退職の募集など他の手段により本件整理解雇を回避する努力を十分に尽くしたとは認められない。
なお,被告は,技術社員に対する希望退職が,被告にとってかえって人材流出という不利益をもたらし実効的な解雇回避措置として機能しない状況にあったと主張するが,かかる主張は,その具体的な裏付けに乏しい上,先に認定した本件整理解雇に至る経緯に照らせば,本件整理解雇に当たって一切の希望退職を行わないことの合理的根拠となり得ないというべきである。
ウ 人選の合理性
先に判示したとおり,本件解雇当時の人員削減の必要性及びその程度は明らかではなく,被告の人員削減の目標も明確ではないところ,第3・1(4)ウのとおり,被告は,平成21年3月末時点で待機状態にあり同年4月に新規配属されない若しくは同年3月末から同年4月末の間に自己都合退職しないというだけで,これまでの就業状況等を一切考慮せず待機社員351名を本件整理解雇の対象としているため,本件整理解雇の人選基準が,一般的に合理性を有するとは認め難い。そして,この点を原告について個別的に見るに,原告が被告と雇用契約を締結してから13年間にわたり継続的に派遣先で勤務し,平成21年3月末に初めて待機社員となったことは第3・1(1)のとおりであり,このような原告の就業状況等を顧みることなく直ちに同年4月末に本件整理解雇の対象としたことに,合理性を見出すことは困難というほかない。
以上のとおりであるから,本件整理解雇については,その人選基準それ自体に合理性がない上,本件解雇に至るまでの原告の稼働状況に照らしても,原告を本件整理解雇の対象とすることには合理性がない。
エ 手続の相当性
前記第3・1(4)イ,ウ及びオのとおり,Fグループが,平成21年2月25日,分会に対してリストラクチャリングの実施を申し入れて,同年3月17日までに団体交渉及び事務折衝を継続し,同日,人員削減の条件等について合意に達したこと,被告が,同年3月9日,原告を含む解雇の対象者に対し,人員削減についての説明会を開催し,説明会で出された質問事項については後日従業員に対し回答書を電子メールで送付して説明したこと,原告が加入したIとの間においても2度の団体交渉を開催したことが,それぞれ認められる。
上記説明会及びIとの団体交渉における被告の説明等は,被告が具体的な財務資料等を提出しないことなどから原告にとって必ずしも納得のいくものではなかったことが窺われるが,被告が一定の説明及び協議を行っていること並びに上記分会との交渉及び合意に至った経緯も総合すれば,被告の対応が明らかに相当性を欠くとまではいえない。
オ 以上の諸事情を総合的に勘案すると,本件整理解雇の時点で被告に切迫した人員削減の必要性があったとまでは認められない上,被告において,本件整理解雇に先立ち,解雇回避努力を尽くしたとは言い難く,本件整理解雇の対象者の人選についても合理性を認めることができないから,従業員及び労働組合との協議・説明については明らかに相当性を欠くとはいえないことを考慮しても,本件整理解雇の一環としてなされた本件解雇は,本件就業規則20条6号の「経営上やむを得ない事由のあるとき」に該当するとは認められず,また,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であるとは認められない。したがって,本件解雇は無効であって,原告は被告に対して,労働契約上の権利を有する地位にあると認められる。
(2) 第2・1(5)のとおり,原告の給与は,当月末日締め,翌月15日払いであり,証拠(甲6の1 ないし3,乙16の1 及び2 並びに原告本人)によれば,原告の平成21年2月度ないし4月度の各月の給与は,残業手当及び通勤時などにおける自動車の使用に対する
手当である調整金を除き,職責給20万2500円,成果給8万8000円及び住宅補助5000円の合計29万5500円であることが認められる。
以上によれば,原告は,被告との間の雇用契約に基づき,本件解雇後の直近の賃金支払日となる平成21年6月15日から本判決確定の日まで毎月15日限り29万5500円の賃金支払請求権を有する。

第4 結論
以上によれば,原告の地位確認請求は理由があり,賃金請求は,本件解雇後の直近の賃金支払日となる平成21年6月15日から本判決確定の日まで毎月15日限り29万5500円の支払を求める限度で理由があるから,これらを認容し,その余については理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用の負担について民事訴訟法64条本文,61条を適用し,仮執行の宣言について,原告は訴訟費用についてのみこれを求めているが,当裁判所に職務上顕著である原告及び被告間の当庁平成21年(ヨ)第478号地位保全賃金仮払仮処分申立事件の決定に照らすと,賃金請求について仮執行の宣言をするのが相当であるので,同法259条1項を適用して職権でこれを付すこととして,訴訟費用の部分については仮執行は相当でないので付さないこととし,主文のとおり判決する。
横浜地方裁判所第7民事部
裁判長裁判官 深 見 敏 正
裁判官 薄 井 真由子
裁判官 林 まなみ

 

 

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