差別的取扱い・強制労働・中間搾取の禁止
2014-04-15
未払賃金請求、未払残業代請求、不当解雇、不当懲戒など個別労働紛争に適切に対応するには、労働法の知識が必要です。労働問題に関する重要な法律知識を身につけましょう。
均等待遇の原則(労働基準法3条)
労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由とする
賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱いの禁止
解雇、昇給に関する事項は含まれる。採用は含まれない
男女同一賃金の原則(法4条)
女性であることを理由とする
賃金について、男性と差別的取扱いの禁止
賃金体系、賃金形態等を含む
女性を男性よりも有利に取り扱うことも含みます。
強制労働の禁止(法5条)
暴行、脅迫、監禁その他精神的又は身体の自由を不当に拘束する手段による
労働者の意思に反する労働の強制の禁止
違反した場合の使用者に対する罰則
1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金(法117条)
労働基準法の中では最も重い罰則です。
中間搾取の排除(法6条)
いわゆる「ピンハネ」の禁止です。
法律に基づいて許される場合の外、何人も許されません。
法律に基づいて許される場合
職業安定法30条の有料職業紹介事業など
労働者派遣事業について
「所定の手続きを踏まないで行われるいほうなものであっても、派遣元事業主が労働契約の当事者として責任を負担することになり、「他人の就業に介入して利益を得る」ことにはならないから、中間搾取に該当しない」とする通達があります(平成11年3月31日基発168号)。
労働者供給事業について
例えばブローカー(仲介屋)が支度金を渡して外国人女性を日本へ連れてきて、お店で働かせ、女性が得た賃金の一部を回収するような場合、中間搾取にあたります。
例外的に、労働組合等が厚生労働大臣の許可を受けて、無料で労働者供給事業を行うことは認められています(職業安定法45条)
公民権の行使の保障(法7条)
労働者が労働時間中に選挙権その他の公民としての権利の行使・公の職務の執行のため、必要な時間を請求した場合、使用者はこれを拒んではならないとされます。
ただし、公民権の行使を妨げない限度で、請求された時刻を変更できるとされます。
労働者が公民権の行使等に使用している時間について、有給とするか無給とするかについては、法律の規定はなく、当事者の合意によって決めることができます。
該当するもの | 該当しないもの |
公民としての権利 | |
選挙権 被選挙権最高裁判所裁判官の国民審査 憲法改正の国民投票 行政事件訴訟法による民集訴訟地方自治法による住民の直接請求 など |
個人としての訴権の行使応援のための選挙活動など |
公の職務 | |
衆議院その他の議員労働委員会の委員、 陪審員、検察審査員、労働審判員、 裁判員労働委員会の証人選挙立会人 など |
予備自衛官の防衛召集、 訓練召集非常勤の消防団員の職務 など |
参照条文
労働基準法
(均等待遇)
第三条 使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。
(男女同一賃金の原則)
第四条 使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。
(強制労働の禁止)
第五条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
(中間搾取の排除)
第六条 何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。
(公民権行使の保障)
第七条 使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。
職業安定法
(有料職業紹介事業の許可)
第三十条 有料の職業紹介事業を行おうとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。
○2 前項の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を厚生労働大臣に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 法人にあっては、その役員の氏名及び住所
三 有料の職業紹介事業を行う事業所の名称及び所在地
四 第三十二条の十四の規定により選任する職業紹介責任者の氏名及び住所
五 その他厚生労働省令で定める事項
○3 前項の申請書には、有料の職業紹介事業を行う事業所ごとの当該事業に係る事業計画書その他厚生労働省令で定める書類を添付しなければならない。
○4 前項の事業計画書には、厚生労働省令で定めるところにより、有料の職業紹介事業を行う事業所ごとの当該事業に係る求職者の見込数その他職業紹介に関する事項を記載しなければならない。
○5 厚生労働大臣は、第一項の許可をしようとするときは、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴かなければならない。
○6 第一項の許可を受けようとする者は、実費を勘案して厚生労働省令で定める額の手数料を納付しなければならない。
(労働者供給事業の許可)
第四十五条 労働組合等が、厚生労働大臣の許可を受けた場合は、無料の労働者供給事業を行うことができる。